必死採掘

イフリートの釜〜通称『イフ釜』。エルシモ島のジャングルにあるユタンガ山の頂に位置する巨大な火口を土地のミスラ達は古来よりそう呼んでいる。ソロではLv75でも危険といわれるモンスターが徘徊する危険地帯であるが、アダマン鉱やオリハルコン鉱が希に産出することもあり、一攫千金を狙い決死の覚悟で臨む採掘者も多い。これを『必死採掘』と呼ぶ者もいる…

まあ…某ファンタジーの古典のように世界を救うために指輪を棄てに行くような崇高な目的ではなく、金策と単なる度胸試しというところがいかにも現代風なのであるが。
とにかく下記のような準備をしていく

  • プリズムパウダー(薬品、視覚感知のモンスターから自らを隠蔽する)
  • サイレントオイル(薬品、聴覚感知のモンスターから自らを隠蔽する)
  • つるはし(雑貨、採掘をするにはこれが必要。ある確率で壊れることがある消耗品)

気になる価格だが各国競売所で、各1ダースを合わせて12000ギルあまりで購入可能である。これは所持金数万の貧乏冒険者であるオレにとっては少なくない金額である。

この世界にはインビジとスニークという白魔法があり、適正レベル適正ジョブなら薬品を使わずともモンスターの視覚感知・聴覚感知から自らを隠蔽可能であるが、この地にはもうひとつ魔法感知というやっかいな能力を持つVocano Gusというモンスターがいて、こいつのそばでは高価な薬品を使わざるを得ない。

ということでいわばビジネス的にもハイリスク・ハイリターンとなるイフ釜遠征であるが、既にほぼローリスクとなってしまったグスゲン採掘に代わって「最後の鉱脈」にチャレンジするのが冒険者としての矜持であるというのは言い過ぎか。

前おきが大分長くなったが結果は惨憺たるものだった。
さて掘るぞと火口洞窟の入り口でスニークを唱えたとたん、岩の陰からVolucano Gusがこんにちはである。
一発200ダメージにおよぶボム族の攻撃に耐え切れるはずも無く緊急脱出を試みるが、敢え無く失敗。デジョンした先のホームポイントで無様な姿をさらすことになった…。

いつ切れるかもわからぬ隠蔽効果に生命をかけつつ、危険なモンスターの徘徊する洞窟でつるはしを入れるカタルシスを感じることもなく「不戦敗」である。
レベルもすっかり下がってしまい、オレの興味は既にレベルあげへと向いていた。