キーリ(14/50) 少女と荒野と鉄道と

本作は第9回電撃ゲーム小説大賞・大賞受賞作であり、2006年4月に全9巻で完結している。

死者を見ることができる少女が寄宿舎学校を飛び出し〈不死の体をもった男〉と〈死者の声でしゃべる古びたラジオ〉を道連れに荒野の惑星を鉄道であてのない旅をする。

正直ツボに入った。似たようなテイストをもった作品に時雨沢恵一キノの旅』シリーズがあるが、これも異郷ロードノベル*1の系譜に属している。
地の文での情景描写はライトノベルだとどちらかというとなおざりにされがち*2だが、本作は舞台となる惑星の寂れた情景や、荒涼とした土地に砂まじりの風のザラついた感覚までが伝わり全く素晴らしいと思う。

田上俊介の描く挿絵のキャラクターは素晴らしいが、調度品がややモダン過ぎるのが惜しい。

*1:たった今つくった語です

*2:大都市や学校、宇宙船など人工的な環境を舞台にしがちということもあるのだろう