先週までに読んだ本

年末ということもあり、淡々といきます。

『キーリ』壁井ユカコの新シリーズ。少女漫画的ワールド全開だが、もう少し続きを読んでみないと評価し難い。

戦う司書と黒蟻の迷宮 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と黒蟻の迷宮 (スーパーダッシュ文庫)

山形石雄戦う司書』シリーズ3作目。本作はプロット上の仕掛けよりもウインケニーの人物造形に。シリーズを通じて言えることだが、300ページにも満たない長さでかなり密度の濃いお話を展開をしているのが凄い。

戦う司書と神の石剣 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と神の石剣 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書』シリーズ4作目。ミレポックにアルメと登場人物の魅力は少ないが、ストレートに謎を追うサスペンス的展開か。映画の街フルベック=ハリウッドだろうが、とすればパーニィ・パールマンタはブラック・ダリア事件がモチーフかと妄想。

戦う司書と追想の魔女 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書と追想の魔女 (スーパーダッシュ文庫)

戦う司書』シリーズ5作目、勢いはまったく衰えず。2〜4で展開されてきた神溺教団の謎を(若干の謎は残るものの)一旦決着させ新展開につなぐ。これまでのまとめ役がヴォルケンで物語はオリビアに引き継がれたとも読めるかな。自転人形ユックユックを起動するシーンあたり元ネタはシモンズ『エンディミオンの覚醒』ではないかとこれも妄想。

福田政雄『殿がくる!』の2作目。いわゆるタイムスリップものではあるが織田信長という同時代の異端児を据えることで、ありがちな400年前との時代ギャップをネタにするドタバタものにはしていない。ライトノベルの枠組では政治や社会を扱う作品として変わりもの扱いされそうな気もするが、魔法使いでも宇宙人でもないが強烈な存在感をもつキャラクターを日常に登場させるという意味では意外にライトノベルの本流なのかも。

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

筒井康隆の80年代に書いたファンタジー作品であるが今読んでもかなりおもしろい。人類が数千年前に宇宙船で植民したと思しき惑星、植民後の急激な生活環境の退行で「転移」や「読心」などのさまざまな超常能力が発現した世界が舞台。ひとりの男の人生を通じた旅を淡々と描くことでなんともいえない読後感を与えてくれます。

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

米澤穂信の『小市民』シリーズ2作目。このミスのランキングに入っていました。一作目と似た構成をとっていると思わせつつも「事件」解決後の終章で冒頭からの伏線を明らかにし、一気にひっくり返すのはお見事というほかない。なおミステリーとしてではなく小鳩君と小山内さんの物語としてこのままだとアレなので続編を期待。