清水マリコ『侵略する少女と嘘の庭』

同じ町を舞台にする「嘘」シリーズの三作目で、清水マリコのノベライズを除くオリジナル作品としては最新作です。

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

侵略する少女と嘘の庭 (MF文庫J)

良かったです。なんというか一言でいうと、読んでいる間は「中学生」をフル体験できます。もちろんリアルなものではなくお話の中のキャラクターとしての意味ですが、地味な舞台設定にも関わらずお話づくりも非常に巧みでページが進むことといったら。
物語にいわゆるファンタジーな設定はありそうで無いのが特徴でしょうか、そのくせ読後感はファンタジーを呼んだ後のような不思議な作品です。
あと挿絵(画:toi8)が非常に良いです。モノクロイラストが見開きという好条件もありますが、シーンの切り取り方は素晴らしいです。挿絵のあるライトノベルですが、ぼく自身の期待するシーンを外していることが結構多く(ここが絵になってないなんて!とか)ガッカリすることがありますが、この作品は見たいところをしっかり絵にしてくれました。