森田季節『桜木メルトの恋禁術』

もうすぐ『不堕落なルイシュ』(MF文庫J)と『ともだち同盟』(角川書店)と2作同時刊行がちょっと嬉しい森田季節の『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』『原点回帰ウォーカーズ』に続く5冊目.

桜木メルトの恋禁術 (MF文庫J)

桜木メルトの恋禁術 (MF文庫J)

ラブ・イズ・デッド!ラブ・イズ・オーバー!この世にはびこる恋愛という悪魔を人々の心から追い出すため、日々戦い続ける自称正義の恋禁術師、桜木メルト。クラスの委員長であり、人気者の二宮七緒のことが好きで好きでたまらない主人公・金沢大和がその想いを告白しようとしたまさにその瞬間、メルトの恋禁術が炸裂する。大和:「俺は二宮のことが、す、す…すみそ」七緒:「酢味噌?」愛の告白ができないという呪いをかけられてしまった大和は、メルトの助手となって呪いをとく機会をうかがうのだが…。恋なんてしない進化系(?)ラブコメ登場。

MF文庫Jは、個性的でおもしろい作品があり量産型ラブコメとか侮れない.文庫カバーの紹介/あらすじからはそのおもしろさがわからないのがなんとも悩ましいところ.本作も実は発売当時ノーチェックでAmazonで検索したところ見慣れないタイトルを見つけてあわてて読んだ次第.
ツンデレ気味ヒロイン→主人公→かくれオタクのクラス委員長、という他作品よくありそうなモチーフを組み合わせた感はあるが、読んでる間はそれがまったく気にならなかった.
委員長ヒロインの告白が実は主人公の壮大なる勘違いとかブラックな要素があって笑えるし。この手のラブコメ的作品ではツッコミ役で会話の進行に徹しがちな主人公が、後半のヤマ場ではやけにかっこよく熱い展開なのも良かった.
最後まで登場しなかったヒロインの「師匠」や、委員長との恋の行方など、続編を期待させる伏線が若干残っているが、本作だけでも一応の完結をみており十分満足できるのが痛し痒しというところ.