亜鉛鉱の二つの顔

競売での亜鉛鉱の価格変動はなぜ激しいのだろうか…

唐突だが、バストゥークで競売で亜鉛鉱を出品していてふと考えてしまった。
たとえば鉄鉱は大抵600ギルで出品されており、下落しても500ギル程度である。
銀鉱は400ギルで流通量が少ないせいかほとんど値動きがない。
黒鉄鉱は6500〜5500ギルくらいか。他の鉱石に比べると価格変動の絶対値は激しいが中心価格を6000とすると±8パーセントである。

これに対し亜鉛鉱は高値で取引されているときは550〜500、下落しているときは300〜250とかなり値動きが激しい。
中心価格を400ギルとすると価格の振れ幅は±150ギルとなり、実に37パーセントに達する。
実際には400ギルの値をつけることはめったになく、前述のように高いか安いかのいずれかである。

鉄鉱など他の鉱石と比較して、需要と供給のバランスが崩れやすい(言い換えると出品される数と欲しい人の数が変動しやすい)ということはすぐにわかるのだが、それはおそらくバストゥーク港で受けられるクエスト『買い取りなら天晶堂』に理由があるのだろう。

このクエは天晶堂が亜鉛鉱4つを350ギルで買い取ってくれる。実際の競売価格を考えると噴飯モノの買い叩きぶりであり、普通ならこんなクエを積極的にする者はいないだろう。

ところが、複数回コンプすることが可能なこのクエはバストゥークの名声ではなく、天晶堂の名声に効果がある。
このため、ノーグのクエス*1を受けたい冒険者が名声上げの手段として熱心にとりくんでいることが多い。

そういえば…、既に冒険者から「引退」して久しいあるタルタル君も忍者ジョブを取ったときにずいぶんと熱心にこのクエをやっていた。2000ギル近くで買ったモノを350ギルで買い取ってもらうとは!と半ばあきれていたことを憶えている。

そんな私も今や、ノーグの名声を気にするようになり、競売やバザーで250〜300ギル程度の亜鉛鉱を目にすると、まとめて買い取って天晶堂に二束三文で叩き売っている。

逆に500ギル以上の高値で取引されているときは、採掘で貯め込んだ鉱石をかき集めて出品し、ささやかな利益を得ることもある。

できれば、いつも高額で出品できればよいと思っているが、彫金をしている冒険者にとっては安いに越したことはないだろう。
それは立場や利害が異なるので当然だと思う。

この世界で他の採掘物とは異なる「役割」を与えられてしまった亜鉛鉱…。
新米彫金師達にとって、その調達は常に頭の痛い問題である。
一方、冒険をはじめて間もない冒険者にとっては、少からず利益を得る機会を与えてくれる魔法の鉱石なのかも知れない。

*1:ノーグの名声は天晶堂の名声に関係していることはつとに知られている