高野和『七姫物語』

第九回電撃ゲーム小説大賞の受賞作で、16ヶ月に1回というライトノベルでは珍しい刊行ベースで4巻まで続いているシリーズです。きっと良い読者がついているのだと思います。

七姫物語 (電撃文庫)

七姫物語 (電撃文庫)

本作は異世界における戦記もの、いわゆるあるいはエピックファンタジーと呼ばれる作品に分類されるようですが、物語は主人公である十二歳の空澄姫(からすみひめ)の視点からのみ描かれるという独特の形式をとっています。彼女の世知に長けた大人ではないけど世間知らずの子供でもない独特の視点と語り口がこの手のジャンルに馴れた読者にも新鮮に感じると思います。
舞台は古代中国を彷彿とさせる異世界ですが魔法や超自然の要素は出てこず、市井に暮らす人たちの姿も主人公の目を通して独特の淡々としたペースで描写されます。

ファンタジーといえば多視点&群像劇という時流に逆らっての良作というとことで、続きを読んでみたい気がしますが続刊を待つのが怖かったりします。7点