谷原秋桜子(たにはら・しょうこ)『龍の館の殺人』

龍の館の秘密 (創元推理文庫)

龍の館の秘密 (創元推理文庫)

行方不明の父親を捜すため、倉西美波はアルバイトに励んでいる。今回は、「立っているだけで一日二万円」の仕事。でもバイト先での宴会の末、たどり着いた「龍の館」で、またもや殺人事件が勃発!被害者はなぜ溺死する寸前になるまで助けを求めなかったのか?『天使が開けた密室』で注目を浴びた著者が放つ、清新な本格ミステリ第二弾。未発表短編「善人だらけの街」を併録。

富士見ミステリー文庫から2001年発表された『激アルバイター・美波の事件簿(2)』を改題。
今度の美波のバイトは托鉢(たくはつ)!だからなのかお寺の多い京都の山奥の洋館を舞台に事件が発生。殺人のトリックは良く似たものが最近読んだ作品『トリックスターズL』出てきたが、元ネタがあるのかも知れない。前作同様テンポが合わず事件が動き出すまでの流れがどうにもつらい。
表題作よりも併載短編「善人だらけの街」が予想外におもしろい。これって発表して大丈夫なのか?と思えるほど大胆なアイデア。ややライトノベル向けには刺激が強く未発表になっていたのもそのせいかもと想像をしてしまう。6点