直月秋政『雅先生の地球侵略日誌』
第8回えんため大賞・東放学園特別賞受賞作品
2月刊行のファミ通文庫「えんため大賞フェア2008」の中から、お奨めを一冊だけと言われたら迷った末に本作を選びます。第9回ではなく第8回ですが。
- 作者: 直月秋政,昼間行燈
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/01/30
- メディア: 文庫
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大宇宙艦隊を率い地球を侵略にやってきたクァーゴ帝国。しかし地球を守るヒーロー戦隊に連戦連敗で、はや2年が経過。
侵略軍の「女幹部」である主席補佐官ワルザードは上司や幹部のふがいなさにストレスをためつつ、作戦の無いときは「仮の姿」高校教師「源雅(みなもと・みやび)」として勤務先の保健室で同僚の美人養護教師に愚痴る日々だが一念発起し起死回生一発逆転の作戦を立案する。
どちらかというと本作はライトノベルしか読まない読者よりもライトノベルを含めなんでも読む層に喜んでもらえそうな作品です。楽屋オチすれすれのギャグやパロディーも含め、ライトノベルレーベルに既存文芸にないユニークさを求めている読者には迷わずおススメです。
本作基本は「ヒーロー戦隊もの」のパロディーなのですが、語り手である主人公以外の登場人物が全員「ボケ」役であるため、二十代後半女性独特というか結構毒のある語り口でひたすらツッコミ続けるという、ある種「読み手」をはげしく選ぶ作品です。
ところで冒頭でも触れたように本作は第8回、つまり昨年のえんため大賞受賞作品です。優秀賞受賞の『108年目の初恋。』今や大人気シリーズとなった『バカとテストと召喚獣』、刊行当時話題になった『声で魅せてよベイビー』の同期作品ということです。昨年の受賞作がなぜ今刊行されるのかは謎なのですが事情があったのかもしれません。第8回えんため大賞が実力作揃いとはいえ、賞金額が5万円というのも……。