反省会〈新規部門〉ラノサイ杯で投票しなかった作品を敢えて語ってみる

ラノサイは人気投票によるお祭りであると同時に、このサイトのお勧めという側面もあるが、母集団の規模がどのくらいかを参考までに。

時期 読んだラノベ
2007年下期 46
2008年上期 73
2008年下期 65

ひところほど読んでいない……わけでもないが。
最近の読書傾向として刊行時期に関係なく既刊を読みがち。どうしてもサイト維持に必要な「旬な話題」を追いかけるのに疎くなったり。


新規部門では18冊から選んで投票した。
投票に際し、『ベネズエラ・ビター・マイ・スイート』、『ハーフボイルド・ワンダーガール』『ミスティック・ミュージアム』『S.P.A.T.! スパット!』の4作は迷わなかったが、残り一票をどの作品にするかで悩んだ。
結局『超人間・岩村』に入れたのは個性的な男性キャラというフロンティア(茨の道とも言う)に挑んでいるから。作劇や設定にやや不満な部分もありそれも含め続刊に期待している。


AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

1位(44票)。「2008年中に刊行された単発作品でもっとも優れているものを2作だけあげよ」と言われれば迷わずこの『AURA』『とある飛空士への追憶』となる。ラノサイ杯のような人気投票だと完成度よりも個人的な応援を優先してしまい難しい。


2位(34票)。話題性という意味で今期のサイト杯では票が集まるだろうと思っていたがこれほどとは。内容もしっかりとした良い作品だが、どちらかというとコアなラノベファン(?)よりも「ラノベも読む」層に話題=ネタとして消費されているのでは?などと考えていたが杞憂だったようだ。
ちなみに伏見つかさの作品はこれがはじめて。個人的には長めのタイトルというのに惹かれるようで、発売前からチェックしていた。私にとってこの作品の魅力は妹成分よりも、主人公と幼馴染との擬似老夫婦ライフによる癒しだったりする。


やってきたよ、ドルイドさん! (MF文庫J)

やってきたよ、ドルイドさん! (MF文庫J)

8票。これは完全なタイトル萌え票。
ドルイドさんがやってきた!』でも、ましてや『どるいどっ!!』(感嘆符の数は適当)でもなく『やってきたよ、ドルイドさん!』
……で、完全にやられました、さっぱり意味不明かと思いますが。

冒頭十数ページでその後の展開がおおよそわかってしまう出オチものなのだが、あまり物語の風呂敷を広げずこじんまり(失礼)と進めることで、作品後半も失速せずウェルメイドなエンターテイメントとして成立している。
というわけで実は続刊を楽しみにしている作品。動物を引き連れた絶叫先生描くカラー口絵は反則レベル。


ばけらの! (GA文庫)

ばけらの! (GA文庫)

21票。2008年に刊行された杉井光の作品は8冊。5月の『死図眼のイタカ』(一迅社)から10月の『さくらファミリア!2』(同)まで怒涛の毎月刊行を含め、正に「杉井イヤー」だったかと思う。その分票が分散し全体の印象が薄まるかなと思いきや、この著者の作品の主人公はみな同じなので!ストーリーや作品世界やリアリティがそれぞれ微妙に異なる分、なにか不思議な相乗効果が発生している、ような気もする。
ところで早川書房には『ノーストリリア』をぜひとも再刊していただきたい。