R.O.D

2000年7月にスタートし、2006年現在も続く人気シリーズ。回転の速いこのジャンルでは古典に属していると言って良いかな。

物語のプロットは大英図書館(MI-6と大英博物館を連想させる)のエージェントである主人公が紙を自在に操り盗まれた稀覯書や誘拐された女子高生作家を救うために、特殊能力を持った敵と戦うというもの、アニメにもなっているそうだが未見。

主人公が使う大英図書館開発の「戦闘用紙」という設定がおもしろい。二七番「ブローン・アウェイ」、九番「グレート・ウォール」、十六番「ワイルド・ブリット」とちょっとマイナーな映画のタイトルの引用になっている。
本がテーマということもあり、S・キングの『ミザリー』がプロット上の重要な伏線になったり、登場人物一人である菫川ねねね作『猫のいる街角で』など、実在の小説と架空の作品が入り混じって出てくるのはおもしろい。このあたり続巻でどんどん凝った方向にいってもらうといいなあ。

待ち時間とか電車で読んでいたが、地の文に引っ掛かることなくさくさくと読み進められるのはシーンの構成がハリウッド系アクション映画の構成に良く似ているからかも知れない。冒頭のお台場のシーンから主人公が登場する学校のシーンまでのあたりまさにそれ。

クライマックスの書籍倉庫のシーンはハリウッド系というよりもむしろ香港系といっていいほどケレン味たっぷりで、主人公の特殊能力がこれでもかという格好良さで描かれる。
スローモーションのごとく紙がパッと散ったり、広がった紙で銃弾が停まるシーンなど映画的な演出が満載の本作、香港あたりで実写映像化してほしいなあ。

若干設定や台詞回しに洗練されないところが無いでもないが、テンポ良く読めることは請け合いなので、本好きの人というよりもむしろアクション映画好きの人にはお薦め。