A君(17)の戦争(24/50)
新装版A君(17)の戦争1 まもるべきもの (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 豪屋大介,玲衣
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2005/04/20
- メディア: 文庫
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《50冊》も既に半数到達直前だが、はじめての富士見ファンタジア文庫。作者はこの他にエロス&バイオレンス溢れる異色作『デビル17』シリーズも書いているが、2001年に発表された本作『A君(17)』シリーズが処女作で現在まで9冊が刊行されている(続刊)。どっちもセブンティーンなのデスネ。
容姿も成績もパッとせずイジメられッ子の主人公が異世界に召還され魔族の国の王として迎えられる。類似のアイデアは古今東西よくある*1が、ユニークなのは主人公には授かった特別な能力も英雄的な魅力も無く、「病的」と描写されるほど「根が暗くしつこい」性格で考え出した軍略をもって侵攻してくる他国に対抗するところ。作品世界やプロットは異なるが佐藤大輔原作・伊藤悠画『皇国の守護者』を連想してしまった。
前半は異世界ファンタジーやオタクネタのパロディーといった軽い語り口で、さくさくとページが進む。一転して後半は主人公の葛藤を中心に戦記モノも彷彿とさせる重厚さとなっているがそれほど違和感は感じずやや長めの350ページも苦痛ではない。
作者の語り口にはかつて自らがそうだったであろう十代の男の子へのメッセージが込められており、その意味では本作は定着しつつあるライトノベルというよりも書店等で一般的なティーンズ文庫がしっくりとくる。とはいえ、独り善がりな青臭いメッセージばかりでオトナは読むに耐えないかというとそんなことは全く無く、歴史系専門の編プロにいたという作者の高密度かつ全体を俯瞰するかのごときクールな描写はハードでシリアスなこの作品に合っている気がする。
続刊に持ち越された要素もあり、完結した一冊の物語としては物足りなさを感じるのも事実。新人賞応募作品ではなく発表時にシリーズ化を前提としているせいか、いくつか続編への伏線がはられているのは仕方の無いところか。
- 作者: 伊藤悠,佐藤大輔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/03/18
- メディア: コミック
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