野村美月『天使のベースボール』

天使のベースボール (ファミ通文庫)

天使のベースボール (ファミ通文庫)

所用で立ち寄った、とある街のブックオフのバーゲン棚にて発見即購入。
こうした偶然の出会いも重要だよね。

純粋培養のお嬢様がちょっとワルい男子校に赴任、なし崩しに野球部の監督をすることになるが、予想される「荒れた生徒のスポーツによる更正」というこの手の物語にありがちな線は……当然ない!(笑)
野村美月の作品はキャラクターの配置は割と基本に忠実というかラノベ的にはむしろ凡庸でひねりがあまりない……のだがキャラが勝手に動き出すとあれよあれよという間に通常のお話の流れから逸脱していく。この作品の場合、お嬢様監督まりあの「貞操の危機」がコメディの中軸に据えられる。
そして例によって脇役の暴走が……、ちょっとカワイイ系少年とクールな元天才野球少年のBLっぽい雰囲気はやっぱり仕様ですか。

野村はデビュー作の女の子の友情もの*1で好評を博したが、そうした評価に満足せずいろいろな傾向の作品にチャレンジしたのがわかる佳作。ちょいエロな展開に5点+

*1:まったく脈絡なく蒼樹うめひだまりスケッチ』を連想してしまった。ムードは若干異なるが『卓球場』の良さって結局そこかもしれない。