久住四季『トリックスターズM』

トリックスターズM (電撃文庫)

トリックスターズM (電撃文庫)

前作は大学祭初日の事件を扱っていたが今回は同じ2日目の事件。次作『C』は最終日である3日目を描くとのこと。

魔法をモチーフとする本格ミステリという難しい題材に挑む本作。1作目『トリスタ』から3作目『D』まではいわゆる密室トリックのバリエーションであったが、今回は「犯人」が誰かある時点で明らかとなってしまうためいわゆる「ワイダニット」=犯人の動機解明が事件解決の鍵となる。で、ワイダニットとなると登場人物の心の動きや過去エピソードが描かれるのが定石となるが、本作ではそのあたりが意外にあっさりと処理されてしまい、いまひとつ腑に落ちないというかダイジェスト版を見せられた気分になってしまう*1
これはラノベという形式のせいというよりも、読者との距離を測るような本作の文体(=語り手である「周」(あまね)の性格とも言える)と題材との相性の悪さではないか思う。7点

*1:ページ数も253と他と比べると短い