桜坂洋『よくわかる現代魔法 たったひとつじゃない冴えたやり方』

7点
舞台は六本木から秋葉原に。やっぱりコンピュータとくればアキバです。
前作『jini使い』では作者「あとがき」の後で衝撃的なラストシーンが挿入されており、その続き(一夜明けた翌日)から物語が始まる。
一作目以来日常パートのツッコミキャラでしかなかった美鎖の弟聡史郎が実は……とか、2作目の登場人物が意外なところで登場など、完結編にふさわしいサービスも多く全編を通じてテンポよく物語が進む。最後は美鎖の方針に逆らいこよみが弓子を助ける。というかたちでハッピーエンドを迎える。「ドジでバカで小学生にしか見えない」こよみが実はしっかり成長しているのが良かった。

蛇足
副題は「TMTOWTDI」とありこれは口絵を見るとThere's more than one way to do itの略らしい、なんだか暗号っぽい。元ネタはジェームズ・ティプトリー・ジュニアのSF作品『たったひとつの冴えたやり方』から。