雨宮諒『夏月の海に囁く呪文』

離島を舞台にあるおまじないをめぐる連作短編。おまじないといってもいわゆるホラーものではなく切なさや感動のパターンですが、プロットやキャラクターの性格づけにややテレビドラマ的シンプルさというか幼さを感じました。

夏月の海に囁く呪文 (電撃文庫 (1178))

第一話『僕は能面』では、家が民宿の少年と島を訪れた脚本家の女性を。
第二話『ネバーランド』では、島を観光で訪れた女子大生とその小学校時代の同級生と。
第三話『ちっぽけな魚』では、島に一人暮らす老人を。
第四話『ゆうやけこやけ』では、島の野良犬の視点でのエピソードを。

舞台を同じくする各エピソードは少しずつつながっており、テーマも変化をつけているのだが、ちょっと作り物っぽさが感じられ楽しめなかった。
第二話はちょっと感動できるかなといったところだが、これもちょっと不自然なところが気になってしまった。主人公の小学校時代の同級生であった親友が数年前に死んだということを知らないということがあるかなあ。