小野正道『Chaos Kaoz Discaos』

第9回えんため大賞・優秀賞作品
タイトルにルビがふってあり「カオス・カオズ・ディスケイオス」と読むのですが、さっぱり意味不明のタイトルがなんとなくこの作品の立ち位置を表しているように感じます。
私にとっては久々の「地雷」作品でした、オトナのライトノベル読者にはおすすめしません。

Chaos Kaoz Discaos (ファミ通文庫)

Chaos Kaoz Discaos (ファミ通文庫)

ひとりの男が生み出した超科学「境界理論」。その研究のための忌まわしい人体実験の生き残りで、特殊能力をもつ子供たち《I/O》が警視庁公安部第零課として、文字通り悪魔に魂を売った研究者たちに容赦の無い復讐を行う血みどろの物語。

どこからどうみてもいわゆる《厨ニ》魂があふれるプロットです。通常は書店で平積していてもカバー裏のあらすじを見て避けるところなのですが、今回敢えてチャレンジ。実は何を思ったのか《えんため大賞》受賞作をまとめ買いしてしまいました。気づいたときには手遅れ。

ページが進まないときは、作者は不登校のひきこもり少女で、自傷行為から立ち直り、一念発起して本作を書き綴った、という妄想設定で自らを欺き最後まで読みきりました。23歳男性じゃない23歳男性じゃない……と。

冗談はさておき、本作中で扱われるオカルトすれすれの超科学も血みどろバイオレンス描写も、特殊な身体的特徴も持つヤンデレ主人公も、被虐嗜好をもつ危ない設定のロリっ子も、生理的な拒否反応を示すほど受け入れ難くはないです。
小説技術的にはコンパクトな地の文とかエロ度増量気味の会話描写とか完成度は低いとは言えず、一般的にはリーダビリティも悪くないハズですが、ハズなんですが、一向にページが進まなかった……。
結局のところ世界観が受け入れられず、登場人物の動機づけに違和感を感じたということだと思います。